会社法改正やコーポレートガバナンス・コード改定等により役員報酬の開示の拡充が図られたことを契機として、1) 会社法改正後の役員報酬開示の評価や対応、2) 今後の役員報酬開示への期待、3)役員報酬制度におけるESG指標、4)非業務執行取締役(独立社外取締役)の報酬、の4つのテーマについて、国内外の23社の機関投資家等より意見を収集。本調査は2021年7月~9月の期間においてアンケートまたはヒアリング形式により実施。
改正法の施行後において特に注目されている取締役個人別報酬額の決定を代表取締役に一任する運用(いわゆる「再一任」)については、報酬の決定に係る透明性や客観性等への悪影響等が懸念されるとの理由から、8割超の機関投資家が否定的。
これに対応して近時において見られる任意の報酬諮問委員会への決定委任の実務については、社外取締役が主な構成員であることおよび委員会の活動状況の積極的な開示を前提として、大半が肯定的。
今後更なる開示の進展が期待される項目として相対的に意見が多かったのは、業績と報酬実績の相関を示すペイ・フォー・パフォーマンス(P4P)分析結果の開示、役員報酬の個別開示、報酬委員会の権限や役割・報酬委員会の活動状況の詳細。
その他、企業とのエンゲージメントの実施にあたっては、報酬制度が事業戦略の遂行をどのように支えるのか納得感があるストーリーを求める声や、報酬委員会のメンバーである社外取締役が役員報酬の判断や説明をリードしていること自体が重要との意見も見られた。
ESG指標を報酬KPIとして反映するプラクティスについては、本調査の全ての回答者が肯定的に捉えると回答。但し、ESG指標の選択や報酬への紐づけにあたっては企業ごとの特性に沿ってマテリアリティを特定したうえで評価に用いる指標を選択すべきとの意見が多数。
独立社外取締役の報酬水準の増額については、大半の機関投資家が、役割の増加と報酬増額との関係が適切に明示されている限り、増額を肯定的に判断するとの考え方。現況においては、報酬増額に伴う独立性への懸念より、期待役割を確実に担える必要人材の確保をより重視していることが伺える。
独立社外取締役に対する株式報酬の付与についても、業績に連動しない単純な株式報酬であることを前提に、肯定的な意見が多く聞かれた。
調査報告の詳細、調査に参加した機関投資家等の社名(記載許可があったもののみ)については報告書本文(日本語版および英語版(英語版は本文のみ))をページ下部よりダウンロードしてご覧ください。
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