これまで多くのM&Aが行われてきたが、様々な調査、研究によると成功したと言える案件は必ずしも多くない。特に海外企業の買収となると文化や風習の違いなどもあり、難易度は格段に高いと言われている。実際に多くの買収を経験した企業の方々にお話しを伺っていると、「明らかな失敗という訳ではないが、買収当初に予定していたようなシナジー創出に対する手が打てていない。買収から数年経って株主や社内からも買収の効果を疑問視する声も上がり始めている」といったケースが非常に多いようである。
では何故手が打てていないのだろうか。これには様々な理由があるだろうが、典型的なものとして買収した会社の経営幹部に対する遠慮であったり、新たな施策が失敗することへのリスク回避的な考えなどが背景にあるだろう。特に海外企業に対しては、文化や風習の違いなどの面から変化に対する影響の予測が難しく、なかなか踏み出せないといったことが多いようである。
さて、買収した会社を生かす為には、どのような策を講じる必要があるのだろうか。この問いに対しては、買収の目的や置かれている状況によって様々であるが、分かりやすいものとしては以下のようなものがある。
上記のように買収目的によって課題や必要な施策は様々であるが、組織・人事の観点で多くの買収案件に共通して生じる課題とそれに対する施策がある。代表的なものとして以下がある。
遅かれ早かれシナジーの追及を進めていくためには組織・人材面の共通化や統合を進めていくことが求められるが、その際には上記のような施策を早い段階から講じておくことが重要となる。過去に買収された会社をご担当されている方々におかれては、今後、買収後施策の検討をされるにあたっては、上記のような内容をチェックリストとして確認頂き、必要な対策をご検討する際の参考にして頂ければ幸いである。