今年のEnergy Market Reviewにようこそ。今回のレビューでは、主に3つの保険マーケットの動向についてご紹介します。1つ目は、マーケットの二階層化です。マーケットのハード化により大きな影響を受けているプログラムは、影響を受けていないプログラムよりも有利な状況にあります。2つ目は、COVID-19の影響です。アップストリームでは、探鉱・生産(E&P)事業の大幅な縮小、ダウンストリームでは、事業中断(BI)の保険価額の減少がありました。3つ目は、特にアップストリームの保険料収入レベルに対する保険会社の長期的な懸念です。この問題は明らかにCOVID-19の影響と関連していますが、エネルギー転換が加速していることを考えると、エネルギー部門のE&Pや製油所の活動レベルが以前のレベルにすぐに回復するとは考えられません。
一方、エネルギー業界が直面している喫緊の課題である気候変動とそれに伴うエネルギー転換は、この12か月でむしろ加速しており、今回この問題を再びレビューの中心に据えています。本書をお読みいただき、関連する問題について、いつでもご相談いただければ幸いです。
ウイリス・タワーズワトソンでは、お客様の秩序あるエネルギー移行実現をサポートし続けています。お客様がステークホルダーから出される課題に対応してビジネス戦略をますます連携し、ネットゼロの未来に向けて軸足を置くことができるようにします。弊社は、この問題に積極的に取り組み、お客様が新しい目標を可能な限り早急に達成できるよう支援します。本書をお読みいただき、ご意見やご感想をお寄せいただければ幸いです。
01
数週間前、BPのChief Of StaffであるDominic Emery氏がインタビューに応じてくれたことを嬉しく思います。このインタビューの記録が、今年のレビューの主要記事です。
気候変動がなければ、石油・ガス産業を動かしている市場の基本原理が、他のどんな産業においても、好景気の未来を示しているという状況は、残酷で皮肉な事態です。実際のところ、投資家は積極的に列をなして参加したでしょうし、顧客も満足のいくサービスを受けることができたでしょう。
2020年代は、エネルギー業界にとって他に類を見ない変化の10年になることが約束されています。それはまさに「旅立ちしものの、一人としてもどってきたためしのない未知の世界」です。エネルギーは、食料や水、通信、金融と並んで、私たちの経済の基本的な基盤となっています。
2021年3月、ウイリス・タワーズワトソンのNatural Resources部門チーフ・ブローキング・オフィサーであるRichard Burge(RB)は、世界的な保険会社であるQBEのグループ・チーフ・アンダーライティング・オフィサーであるSam Harrison(SH)と国際マーケット担当エグゼクティブ・ディレクターであるPeter Burton(PB)の両氏に話を聞きました。世界の保険マーケットの将来性から、気候変動やエネルギー転換の影響まで、さまざまなテーマについて語り合いました。
02
2021年のエネルギー企業にとって、最も重要な政治的リスクは何か? この問いに答えるのに、おそらくエネルギー企業の社内アナリスト以上の適任者はいないだろう。
歴史上、ペストに代表されるパンデミックは、経済危機、政治的混乱、社会不安を引き起こしてきました。COVID-19も例外ではなく、多国籍組織が警鐘を鳴らしています。
エネルギー会社の保険マネージャーは、ここ数カ月で重大な課題に直面しています。パンデミックがエネルギー需要や会社の運営に影響を与えただけでなく、保険マーケットがハード化し、保険会社によるリスクの精査が強化されたことで、予算の制約の中で保険プログラムを組むことが、非常に難しくなっています。
ハード化した保険マーケットが更改交渉をより困難で時間のかかるものにしていることに加え、世界的なパンデミックによってもたらされた私たちの就業環境への無数の変化が重なり、今日のリスクマネジメント環境において、効果的なコミュニケーションのための革新が真に必要とされています。
Oil Insurance Limited(OIL)は、商業市場の要素が安定しない中、メンバーが慣れ親しんだ長期的に安定した利益を提供し続けました。
03
エネルギー保険マーケットのほぼすべての分野が、12ヶ月前ほどではないにせよ、ハード化し続けている状況をまとめました。
Mike Hayes(MH)は、Berkley Offshore Underwriting Managersのシニア・バイス・プレジデントで、ロンドンの保険マーケットで35年以上の経験を持っています。本インタビューでは、ウイリス・タワーズワトソンのロンドンにおける賠償責任部門の責任者であるMike Newsom-Davis(M N-D)が、エネルギー賠償責任保険マーケットの現状、保険会社が直面している現在の課題、エネルギー会社が保険会社と長期的な関係を維持することの意義についてお聞きしました。
全体的に見て、アップストリームの保険マーケットは今年も納得できる保険の引受を行いました。昨年、このマーケットのハード化プロセスは、関連するいくつかの保険に比べるとそれほど劇的ではなく、最近のポートフォリオの収益性が維持されれば、おそらく2021年に向けてハード化の傾向は弱まるだろうと報告しました。
昨年のレビューでは、ダウンストリームのマーケットが著しくハード化しているという非常に暗い概況をご案内しました。2017年、2018年と同様に2019年の損害額が保険料収入を上回る状況が続いており、マーケット環境の改善を期待して企業に提供できる良いニュースはほとんどありませんでした。
2020年10月のアップデートで示唆したように、国際賠償責任保険マーケットの買い手視点ではまだほとんど安心できません。財物保険マーケットはハード化しつつあるもののまだ本当の意味ではハード化していないといえますが、国際賠償責任マーケットはまったくもってハード化しています。
この3年間でエネルギー工事保険マーケットは劇的な変化を遂げ、非常にソフトなマーケットから完全に移行しました。これまでの15年間、保険料の引き下げと補償範囲の拡大が行われてきましたが、マーケットがエクスポージャーを軽減しようとする中で、保険料の引き上げや免責金額の引き上げ、補償範囲の制限や定期的な見直しが行われています。
米国、チリ、香港で発生したイベントは、世界の保険マーケットに重大なストライキ、暴動、騒乱による損害をもたらし、多くの損害が財物・オールリスク保険マーケットで保険金が支払われています。
アップストリームとダウンストリームのキャパシティに関するまとめです。
右記のフォームにご記入、送信いただくと登録いただいたメールアドレス宛にダウンロード&視聴ページへのリンク含むメールが送られます。そちらのページより、本レポート(全118ページ)がダウンロードいただけます。また、レポートの発表に合わせてUKにて開催されたウェビナーも同ページにて視聴いただくことができます。
なお、競合他社、弊社としてお取引しかねるお客様、個人事業主様のご登録はご遠慮いただいております。予めご了承ください。