近年、従業員は仕事と生活の大きな変化に直面し、これまでにない健康やウェルビーイングへの不安を抱えています。60%近くの従業員が、これらの課題により中程度から高いレベルの不安を感じています。ストレスは、進行中の健康危機や新たな経済的懸念、リモートワークやハイブリッドワークによる仕事に集中できない状態など、さまざまな面から生じています*1。
伝統的な労働形態・働き方の崩壊をはじめ、厳しい仕事量、社会的支援の欠如、ワークライフバランスの曖昧さなどが従業員にプレッシャーを与え、バーンアウトの懸念を増大させる原因となっています。
バーンアウトは、深刻なストレスが長期間にわたって持続し、コントロールされないまま、すべての対処メカニズムが機能しなくなったときに起こります。その結果、従業員は極度のストレスを受けることになります。職場では、従業員は生産性やパフォーマンスの低下、エネルギーの枯渇、否定的な感情や憤り、職業上の肯定感の低下を被る可能性があります。バーンアウトは、疲労、不眠、悲しみ、怒り、苛立ちを引き起こし、アルコールや薬物の乱用、心臓病、糖尿病などの深刻な病状を含む、さらなる健康被害や病気につながる可能性があります*2。
雇用主は、従業員のバーンアウトを防ぐために積極的な役割を果たすことができます。当社の2021年ベネフィットトレンドサーベイによると、多くの組織が以下に示す何らかの措置を講じていることがわかりました。
従業員のメンタルヘルスとウェルビーイングを重視し、バーンアウトの発生を防ぐことは、会社全体として取り組むべき課題です。これによるプラスの影響は、業務プロセスやパフォーマンス管理、そしてエンプロイー・エクスペリエンスといった幅広い領域に及びます。ここでは、その手始めとして取り組むべき6つのヒントを紹介します。
バーンアウトを解決する包括的な方法はありません。しかし、組織は従業員に対する共感と柔軟な発想をもって、従業員のウェルビーイングに対するきめ細かな支援を行うことができます。また、従業員の身体的あるいは精神的、また社会的、経済的なウェルビーイングを大切にすることで、従業員のメンタルヘルスと総合的なウェルビーイングを効果的にサポートすることが可能になるのです。
パンデミックをきっかけとした生活や働き方の急激な変化は、様々な形で従業員の心身の健康に影響を与えています。また、同じ状況下であっても、その受け止め方や不安・ストレスへの耐性は人によって異なるものです。特にリモートワークなど勤務体制の変化によってお互いが見えにくくなり、人知れずバーンアウトが進行してしまう恐れもあります。
そうした中で、制度の見直しやリソースの提供など、会社は具体的に目に見える形で従業員を気遣う姿勢を示すことができます。また、従業員同士の物理的な接点が薄れている中、チームをまとめ、部下に目を配る管理職に対するサポートも重要です。
会社と従業員、また従業員同士のつながりを保ちつつ、従業員への具体的かつ多面的なサポートを行うことが必要なのです。
WTWは、「ターゲット・パルス・サーベイ」のサービスを提供しています。特定のテーマについてタイムリーに従業員の声を聴く、結果に基づいた取り組みを行う、さらに取り組みの効果をモニターするといった形で活用いただくことができます。「ウェルビーイング」は「ターゲット・パルス・サーベイ」の主要テーマの一つです。
「ターゲット・パルス・サーベイ」サービスについては、こちらのページををご参照ください。
※ 本記事は、WTWの海外に在籍するコンサルタントにより執筆された記事を和訳し、日本のコンサルタントによる見解を追加したものです。
1 WTW Employee Opinion Norm Database – August 2020
2 World Health Organization
3 2021 Benefit Trends Survey
4 WTW 2022 Global Medical Trends Survey