食品・飲料業界の展望
食品・飲料および農業事業が直面しているリスク環境は、急速に変化しています。財物リスクでは、食品・飲料施設に関連する危険に加え、気候変動に伴う物理的脅威の増大への認識が高まっています。
賠償責任の面では、新たに発生した食品関連の健康リスクやサプライチェーンの問題が、懸念の高まりの要因となっています。
この結果、財物・賠償責任を引き受ける保険会社は、問題があると考えられる一部のリスクについて、補償の制限やレートの引き上げを行っています。企業にとっては、容認できる価格で必要な保険に加入することが難しくなってきているかもしれません。
食品・飲料における財産・賠償責任リスクの特性とクオリティに関する、保険会社の主な懸念事項をいくつかご紹介します。
データを活用してリスクを区別する:保険会社はあらゆる食品・飲料事業を一括りにしていることが多いが、各サブセクターや業種、事業拠点によってリスクは大きく異なります。
データや情報を駆使してリスクを区別し、定量化することで、有利な補償条件や価格を得ることができます。
リスクコントロール策を最新化する:火災や洪水などの主要リスクを管理する手順を見直しましょう。例えば、損傷したパネルを修理/補修する手順が策定されていることや、すべての可燃物が発火源から十分に離して保管されていることを確認します。
食品安全プロトコルを強化する:第三者機関による貴社の食品安全対策の監査を実施するとともに、サプライヤー監査を実施し、サプライヤーが貴社の要求事項に従っていることを確認します。
このほか、追跡技術を利用して、バッチ/ロット番号によりサプライチェーンのトレーサビリティを監視・保証するといった方法もあります。
評価を更新する:最近の急激なインフレ後、食品・飲料業界の財産評価は請求コストが反映されたものではなくなっています。
これによって保険が不十分な状態となっており、更新時に問題が生じる可能性があります。認定評価会社とともに、現在の評価を確認しましょう。
食品・飲料および農業事業は、保険会社のリスク認識が実情に即したものではないために、財産・賠償責任の補償を受ける上で障壁に直面する場合があります。
WTWは、企業が自社のリスクを把握して区別し、可能な限り保険料を低減しつつ補償額を増加できるような形で、保険市場に対してリスクを提示できるようサポートします。