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特集、論稿、出版物 | 人事コンサルティング ニュースレター

2024年ウェルビーイング診断サーベイ 結果概要 (アジア太平洋地域、日本)

執筆者 石井 佐智子 | 2024年10月7日

WTWでは、ウェルビーイング戦略における取り組み、動向を把握するため、ウェルビーイング診断サーベイを実施しています。本サーベイは2021年から始まり、2022年以降は隔年で行っています。3回目をむかえた2024年、日本では初めて実施する運びとなりました。本稿は、本年実施したアジア太平洋地域(日本を含む)の調査結果の概要をまとめたものです。
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1. 背景

昨今、さまざまな場面でウェルビーイングの重要性が語られる中、従業員のウェルビーイングを向上させることは、競争の激しさを増す人材獲得・定着の分野において、鍵となることは想像に難くありません。その一方で、このウェルビーイングは経済的な不安、心理的なストレス、身体の健康、社会との関わり……と、複数の要素を含んでいるため、どのように取り入れ、対応するかを検討する上で、その動向を把握したいという声が聞かれます。

WTWの2024年ウェルビーイング診断サーベイは、身体的、精神的、ファイナンシャル、社会的ウェルビーイング、ならびに従業員体験(EX)という5分野に焦点をあて、市場の状況、有効性、今後の動向について調査しています。

本サーベイは2024年3月4日から4月12日にかけて実施、アジア太平洋地域(APAC)では16の国・地域から1030の企業(日本の参加企業57社を含む)の参加、回答がありました。

本稿では調査結果の概要を以下の4つの観点からまとめています。

  • ウェルビーイング戦略に影響を及ぼすビジネス課題
  • ウェルビーイング戦略における成果目標
  • 企業の優先順位と従業員ニーズのギャップ
  • 現在~今後の方策
  • 今後に向けて

2. ウェルビーイング戦略に影響を及ぼすビジネス課題

アジア太平洋地域(APAC)の調査結果によると、ウェルビーイングに影響をするビジネス課題は「人材獲得」がトップで、69%の企業が挙げています。

  • WTWが2021年、2023年に行ったベネフィット・トレンド・サーベイ(福利厚生動向調査)においても、「人材獲得競争」はAPACで福利厚生戦略に影響を与える主要課題のトップであり、 「人材獲得競争」が人事分野で最重要課題の1つであることが改めて浮き彫りになりました。
  • 2位は「DEIの重視」で、47%の企業が挙げています。
  • 3位は同率(44%)で「事業およびオペレーションコストの上昇」と「事業/経済パフォーマンス」です。

また、日本の調査結果においても、トップはAPACと同様に「人材獲得競争」で、72%の企業が挙げています。各国、地域において「人材獲得競争」は共通する主要課題であることがうかがわれます。 一方、2位以降は様相が異なり、日本では、「生産性に関する課題」(70%)が2位、「増加するメンタルヘルスの問題」(56%)が3位と続きます。

3. ウェルビーイング戦略における成果目標

APACにおいて、今後数年間で、ウェルビーイング戦略から達成しようとしているビジネス成果は、「従業員体験(EX)の向上」がトップで、81%の企業が挙げています。次いで、「従業員の生産性の向上」が73%で2位、「人材のひきつけと定着の向上」が67%で3位です。

一方、日本の調査結果においても、「従業員の生産性の向上」(89%)、「従業員体験(EX)の向上」(73%)、「人材のひきつけと定着の向上」(71%)で、1位、2位がAPACの順位と逆転しますが、トップ3に挙げられた成果目標はAPACと同じです。

4. 企業の優先順位と従業員ニーズのギャップ

APACにおいて、72%の企業が自社のウェルビーイングの取り組みを「非常に重要だ」と回答していますが、従業員の捉え方とはギャップが見られました。本調査と別途実施した、従業員を対象とする意識調査(2024年Global Benefit Attitude Survey) では、自社の取り組みを「非常に重要だ」と回答した従業員は51%にとどまっています。

日本では、企業と従業員間のギャップがより大きく、「非常に重要だ」と回答した企業が67%であるのに対し、「非常に重要だ」と回答した従業員はわずか12%でした。

注目すべき点は、企業の優先順位と従業員のニーズの著しいギャップです。APACでも、日本でも、従業員はウェルビーイングプログラムの中でファイナンシャルウェルビーイングに最も関心を寄せていますが、企業の優先順位ではAPACでも、日本でも低く、それぞれ4位、5位となっています。

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