社会的に重要な課題への取り組みに欠かせない大手アセット・オーナーの存在: 世界の大手アセット・オーナーは、非常に多くの人々の財産と繁栄にプラスの影響を与える可能性を有しており、その役割は極めて重要になっている。
シンキング・アヘッド・インスティテュート(※ウイリス・タワーズワトソンのインベストメント部門の関連組織)の調査によると、世界トップ100のアセット・オーナーの資産総額は、前年から1.7%増加し19兆米ドルとなることが明らかになりました。世界トップ100アセット・オーナーに関する2回目の調査となる本調査において、ユニバーサル・オーナーは持続可能な投資を通じて気候変動等の課題に対して大きなプラスの影響を与えることが求められていることをシンキング・アヘッド・インスティテュートは強調しています。
シンキング・アヘッド・インスティテュートのインベストメント・コンテント部門のグローバルヘッドであるロジャー・アーウィンは、「株式や債券のリターンという点において2018年の主要投資市場は成果を上げることができなかったものの、こうしたアセット・オーナーは多くの場合上手く分散投資を行い、特にプライベート市場に対する投資を通じて、長期的目標から大幅に外れることを避けることが出来ました。」と述べています。
「トップ100のアセット・オーナーは、世界のアセット・オーナーの運用資金のうち35%以上を占めています。この中には、世界経済全体の一部を保有しているといえる大規模な運用資産を持ち、長期的な運用を行い、自らをユニバーサル・オーナーと称しているリーダーマインドを持ち合わせたファンドが多くあります。それゆえ彼らは自らの財務面での責任において妥協することなく、金融システムを保護するとともに社会的に重要な課題に対してプラスの貢献を行う上で影響力のある役割を担っており、その責務を真剣にとらえ先頭に立たざるを得ないのです。」とアーウィンは付け加えています。
シンキング・アヘッド・インスティテュートの分析では、トップ100のアセット・オーナーの資産のうち年金基金が保有する割合は2018年には前年より1.7%減少して59.1%となり、政府系ファンド(SWF)が保有する割合は1.5%増加して33.5%、アウトソースCIOおよびマスタートラストが0.2%増加し7.4%となったことが明らかとなりました。アジア太平洋地域が引き続き運用資産総額の点で最大となり、ランク入りしたファンドの資産の36.1%を占めており、欧州・中東・アフリカ地域および北米地域はそれぞれ32.3%と31.6%となっています。
「2018年においては、ユニバーサル・オーナーによる『適切な行いで社会に貢献すること』に係わる持続可能性に関する多くの取り組みがありました。こうしたことは財務面において健全な受託者責任原則に則った社会的に有益な取り組みをファンドが支援する活動の始まりの節目となり、世界最大のアセット・オーナーである日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がこうした取り組みの多くにおいて中心となっています。」とアーウィンは述べています。
「アセット・オーナーは将来における予想リターンの低下に直面しており、目標リターンの達成には環境・社会・ガバナンスに関連した投資機会などの持続可能性を考慮した投資モデルをいかにして取り入れていくかが重要となります。アセット・オーナーにとっての持続可能性に関するグローバルなベストプラクティスの意識は高まってきているものの、まだまだ取り組むべき点が多くあります。」とシンキング・アヘッド・インスティテュートのディレクターであるマリサ・ホールは述べています。
トップ20のファンドの運用資産は合計10兆5,500億米ドル、トップ100のアセット・オーナーの運用資産の55.5%を占めています。トップ20の詳細は下表の通りです。
トップ20アセット・オーナー(百万米ドル)順位 | 基金名 | 国 | 総資産額 | 分類 |
---|---|---|---|---|
1 | 年金積立金管理運用独立行政法人 | 日本 | $1,374,499 | 年金基金 |
2 | Government Pension Fund | ノルウェー | $982,293 | 年金基金 |
3 | China Investment Corporation1 | 中国 | $941,420 | 政府系ファンド |
4 | Abu Dhabi Investment Authority1 | アラブ首長国連邦 | $696,660 | 政府系ファンド |
5 | Kuwait Investment Authority2 | クウェート | $592,000 | 政府系ファンド |
6 | Federal Retirement Thrift | 米国 | $578,755 | 年金基金 |
7 | National Pension | 韓国 | $573,259 | 年金基金 |
8 | Hong Kong Monetary Authority Investment Portfolio2 | 香港 | $509,353 | 政府系ファンド |
9 | SAMA Foreign Holdings2 | 中国 | $505,755 | 政府系ファンド |
10 | ABP | オランダ | $461,682 | 年金基金 |
11 | SAFE Investment Company2 | 中国 | $439,837 | 政府系ファンド |
12 | GIC Private Limited2 | シンガポール | $390,000 | 政府系ファンド |
13 | California Public Employees | 米国 | $376,859 | 年金基金 |
14 | Temasek Holdings2 | シンガポール | $374,896 | 政府系ファンド |
15 | National Social Security | 中国 | $325,002 | 年金基金 |
16 | Qatar Investment Authority2 | カタール | $320,000 | 政府系ファンド |
17 | Public Investment Fund/ Sanabil Investments2 | サウジアラビア | $290,000 | 政府系ファンド |
18 | Canada Pension2 | カナダ | $287,410 | 年金基金 |
19 | Central Provident Fund | シンガポール | $286,963 | 年金基金 |
20 | PFZW2 | オランダ | $248,326 | 年金基金 |
※注記の無い限り、データは2018年12月31日現在
世界トップ100のアセット・オーナーの調査レポートの詳細については、 こちらをご参照ください。
シンキング・アヘッド・インスティテュートは、2015年1月に設立された非営利の運用調査及びイノベーションのためのグローバルな会員グループであり、運用業界を最終受益者の利益のために改善及び変化させていくことに取り組んでいる機関投資家のアセット・オーナー及びサービス・プロバイダーから構成されています。世界中に40を超えるメンバーがおり、2002年に設立されたウイリス・タワーズワトソンのシンキング・アヘッド・グループをその前身としています。詳細は こちらのページよりご覧ください。
ウイリス・タワーズワトソン(NASDAQ:WLTW)は、企業に対するコンサルティング業務、保険のブローカー業務、各種ソリューションを提供する業務における、世界有数のグローバルカンパニーです。企業の持つリスクを成長の糧へと転じさせるべく、各国で支援を行っています。その歴史は1828年にまで遡り、現在は世界140以上の国と地域そしてマーケットに45,000人の社員を擁しています。 私達はリスク管理、福利厚生、人材育成などの様々な分野で、企業の課題に必要な解決策を考案・提供し、企業の資本効率の改善や、組織と人材の一層の強化を図ります。また『人材』『資産』『事業構想』の密接な関係性を理解し、企業を業績向上へと導きます。 ウイリス・タワーズワトソンは、お客様と共に企業の可能性を追求して参ります。