2020年3月1日から5月31日までの期間に、役員報酬等の削減(自主返上を含む)を公表した上場企業
※ 一部、報道ベースによる情報を含む
※ COVID-19の影響によるものではないことが明らかな場合(従来からの業績低迷や不祥事等に起因する場合等)は集計対象外
大手企業の削減状況(詳細) ※企業別の詳細は別紙1 参照
時価総額上位500に含まれる企業29社について、各社の削減内容・削減期間等の詳細を調査した。一部詳細が不明な企業もあるが、29社の殆どで、業務執行役員を対象とした固定報酬(月額報酬)の削減を実施している。削減対象として、会長や任意の執行役員、グループ会社役員、社内監査役が含まれる事例もある。社外役員に対する報酬削減は1社のみであった。
会長・社長・その他業務執行役員に対する削減割合は職位に応じて設定している企業が多いなか、下位の職位については10%とする企業が多い一方、上位の職位については10%から60%の範囲で企業によってバラつきが見られた。削減期間は3ヶ月ないし6ヵ月とする企業が大半ではあるが、削減期間を当面の間として未定である企業や、中には1年間の削減を予定している企業もある。
変動報酬については29社のうち4分の1程度の企業が削減を公表しているところ、2019年度賞与を削減する事例と、2020年度賞与を不支給とする事例とで対応が分かれている。
コーポレートガバナンス・アドバイザリーグループ
ディレクター 宮川 正康
有事における企業の社会的責任は大きい。経営陣は、顧客・従業員や地域社会をはじめとした全てのステークホルダーとともに今回の危機を乗り越えることを決意表明し、実際に変革のリーダーシップを発揮することができるのか、その真価が問われている。危機への対応として報酬・給与の削減が必要であれば、リーダー自らが規範を示す必要もあるだろう。報酬削減の先行する欧米では、S&P500の17%が、FTSE100では4分の1が、経営陣の報酬削減を実施しており、大手日本企業においても、今後、同様の推移をたどる可能性もある。他方で、報酬・給与の削減は、コロナ危機対応の臨時的な手段にすぎず、同時に、ウィズコロナ・アフターコロナ時代に向けた新しい人事・報酬制度や評価制度のあり方を模索していく必要もあるだろう。
なお、コロナ危機対応として役員報酬の削減や算定方法の変更を実施する場合は、むろん、その合理性や意思決定プロセスの客観性・公正性が問われるところ、金融庁から有価証券報告書における開示の指針(Q&A)も公表されているので参考にされたい。
※金融庁の指針は別紙2参照
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タイトル | ファイルタイプ | ファイルサイズ |
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別紙_大手企業の詳細及び金融庁の指針 | .3 MB |