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メディア

WTW(ウイリス・タワーズワトソン)、『日米欧CEOおよび社外取締役報酬比較』 2022年調査結果を発表

2022年8月19日

Executive Compensation|Ukupne nagrade
N/A

【プレスリリース / 東京】 2022年8月19日(金) -- 世界をリードするアドバイザリー、ブローキング、ソリューションのグローバルカンパニーであるWTW(NASDAQ:WTW)は、日米英独仏の5カ国における売上高等1兆円以上企業のCEO報酬および社外取締役報酬について、2021年度にかかる2022年6月末までの開示情報を用いて調査を実施しました。

《 CEO報酬に関する調査結果 》

《 社外取締役報酬に関する調査結果 》

日米欧ROEの比較

【参考1】日米欧ROEの比較(中央値ベース:2022年調査)
ROE
米国 19.30%
英国 11.48%
ドイツ 12.10%
フランス 11.28%
日本 9.81%
(中央値ベース)

【出 所(2022年調査について)】

2021年度にかかる開示資料よりWTWが作成。なお、調査対象は以下のとおり:

  • 米 国: CEO報酬比較 - Fortune 500のうち売上高等1兆円以上の企業314社の中央値
    社外取締役報酬比較 - Fortune 500かつS&P 500のうち売上高等1兆円以上の企業156社
  • 英 国: FTSE 100のうち売上高等1兆円以上の企業52社の中央値
  • ドイツ: DAX構成銘柄のうち売上高等1兆円以上の企業31社の中央値
  • フランス: CAC 40のうち売上高等1兆円以上の企業34社の中央値
  • 日 本: CEO報酬比較 - 総額は時価総額上位100社かつ売上高等1兆円以上の企業75社における連結報酬等の中央値。内訳(割合)は連結報酬等開示企業(異常値を除く)68社の平均値を使用して算出。長期インセンティブには退職慰労金単年度を含む
    社外取締役報酬比較 - 時価総額上位100社のうち売上高等1兆円以上の企業75社における報酬等の中央値

※ 米英独仏のデータについては、開示情報をもとにWTWの調査部門(Global Executive Compensation Analysis Team, GECAT)が分析。各国のデータサンプルにつき、在籍期間等により年額が得られないデータサンプルは異常値として集計上除外している

※ 社外取締役報酬比較における米国(Outside Directorを集計)、英国、ドイツ、フランス(それぞれNon-Executive Directorを集計)については、個人別報酬額および報酬の方針の開示情報を分析して集計。取締役会議長や筆頭等の役職を有さない社外取締役については、対象となる全ての個人別報酬額の平均値を算出し、1社につき1サンプルとして中央値を集計している。取締役会議長についてはその個人別報酬額の中央値を集計

※ 社外取締役報酬比較における日本については、社外取締役報酬の総額開示より一人当たり平均報酬額を算出し、1社につき1サンプルとして中央値を集計(社外取締役としての総額開示の区分がない企業2社については、社外役員の総額開示より一人当たり平均報酬額を算出。)

※ 括弧内は2021年度調査結果からの増減率(現地通貨ベース)

※ 参考1におけるROEについては、S&P Capital IQのデータを基にWTWにて作成

※ 参考2、3については、各年度における現地通貨ベースの額を円換算している

※ 参考4における米国の内訳(割合)については、取締役会議長手当の平均値を使用して算出

※ 円換算レートは2021年平均TTM(1ドル=109.80円、1ポンド=151.07円、1ユーロ=129.89円)

《 コメント 》

分析所見
  • CEO報酬比較(中央値ベース)
    • すべての対象国で報酬増。年次インセンティブの増加が大きく影響。
    • 日本は昨年比で14%程度の報酬増。年次インセンティブの増加が顕著であり、変動報酬比率も増加。総報酬2億円以上となるCEOの人数が母集団の半数を超えた。
    • ROE(中央値ベース)はすべての対象国で増加傾向。特に米国・ドイツ・フランスの増加幅が大きい。
  • 社外取締役報酬比較(中央値ベース)
    • 米国は昨年比で2%程度の報酬増。
    • 英国・ドイツは昨年比で2~4%程度の報酬減。フランスは昨年比で14%程度の報酬増。
    • 日本は昨年比で5%程度の報酬増。
    • 株式報酬の付与状況は大きく変わらず(米国では付与が一般的、英国は21%が導入、その他は日本も含め付与事例は少ない)。
経営者報酬・ボードアドバイザリープラクティス 
コンサルタント 佐藤 優樹

今回の調査結果において、CEO報酬は日米欧いずれにおいても昨年比報酬増となった。その内訳を見てみると、いずれの対象国においても年次インセンティブの増額幅が大きい。これは、新型コロナウイルスの影響による業績減速からの回復が、年次インセンティブに反映された結果といえる。このような結果は、コーポレートガバナンス・コード施行以降に日本企業が実施してきた業績連動報酬の引き上げが実効的に働き、ペイ・フォー・パフォーマンスが実態を伴って機能していることを裏付けている。他方、日本企業の長期インセンティブの増額幅は限定的であり、株式報酬等の導入の一巡を境に、大きな動きは見られない。

日本企業の総報酬水準は、中央値ベースで2億円を超えたが、欧米企業はその三倍を上回る水準にある。依然として欧米諸国との報酬水準差が残る一方で、ROEに見られるように、企業のパフォーマンスもまた、改善はしつつも欧米企業に及んでいるとは言い切れない状況にある。本来、CEOの報酬水準は、企業の価値創造ストーリーに沿った人材像や報酬ポリシーに応じて検討されるべきであるが、如何に欧米企業を意識したポリシーであろうと、こうしたパフォーマンスの視点なくして欧米の報酬水準を目指すことは勇み足となり得る。欧米の報酬水準との差を詰める動きの中では、財務的なパフォーマンスに限らず、従業員報酬を含む人的資本投資の強化やガバナンスの高度化など、多角的な視点から企業価値を高めることが求められている。

社外取締役報酬は、フランスの昨年比14.2%増に続いて、日本が昨年比5.3%増となっている(いずれも現地通貨ベース)。日本の報酬水準は増額傾向にあるが、現金報酬だけを見ると、すでに欧米企業と遜色ない水準にあるといってよいだろう。社外取締役に求められる期待役割がますます高くなる中、欧米水準を拠り所とした現金報酬の一律増額には限界が見えつつある。欧米諸国を見習うのであれば、今後より一層の報酬増額を検討する場合には、株式報酬の活用や、取締役会議長や各種委員会の委員長等の役割に応じて報酬額に差をつける形での増額が選択肢として想定し得る。今後、日本企業がそうした報酬の高額化や複雑化へと舵を切るかどうかはわからないが、その土台には、社外取締役の役割や報酬ポリシー、個人別の報酬額などについて、より高いレベルでの説明が求められるだろう。

WTWについて

WTW(NASDAQ:WTW)は、企業に対し、人材、リスク、資本の分野でデータと洞察主導のソリューションを提供しています。 世界140の国と市場においてサービスを提供しているグローバルな視点とローカルな専門知識を活用し、企業戦略の進展、組織のレジリエンス強化、従業員のモチベーション向上、パフォーマンスの最大化を支援します。

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