【プレスリリース / 東京】2023年3月28日(火) – 世界をリードするアドバイザリー、ブローキング、ソリューションのグローバルカンパニーであるWTW(NASDAQ:WTW)は、従来から欧米を中心に行っていた企業経営者のインセンティブプランに対するESG指標の導入状況調査を、今般、アジア太平洋地域(以下、APAC)の大手上場企業にも拡大しました。その結果、APAC企業が欧米企業に追いついている状況が新たに判明しました。
開示情報からの調査によると、調査対象とした欧州企業の91%が少なくとも1つのESG指標をインセンティブプランに使用しており、世界平均の75%を超えて引き続きリードしています。米国企業が69%とこれに続きますが、APAC企業も63%に達しており、米国との差はわずかでした。
地域・マーケット | インセンティブプランにESG指標を 組み込んでいる企業の割合 |
---|---|
グローバル平均 | 75% |
アジア太平洋地域 (n= 188) |
63% |
アメリカ (n = 500) |
69% |
カナダ (n = 60) |
80% |
ヨーロッパ (n = 233) |
91% |
イギリス (n = 100) |
89% |
また全地域において、短期インセンティブプランへESG指標を組み込む比率が高く、欧州は85%、米国は67%、APACでは49%でした。長期インセンティブプランへの組み込みについては欧州が46%とリードしていますが、APACも28%であり、米国の8%よりは高い普及率でした。
ESGのカテゴリごとの指標を見ると、APACにおいて最も多く採用されている指標は“S”の社会的指標(47%)で、人事・処遇、DEI(Diversity, Equity and Inclusion)、ウェルビーイングに関するものが大半を占めています。また31%はリスクマネジメントや企業の社会的責任など、“G”のガバナンス関連の指標を取り入れています。“E”の気候変動、二酸化炭素排出削減、天然資源の責任ある利用などの環境対策の指標を取り入れている企業は28%にとどまっています。
「WTWの最新調査を通じて、グローバル全体においてESG課題の解決を役員のインセンティブプランに反映させることの重要性が高まっていることが明らかになりました。APACはスタートが遅れたものの、特に気候、人的資本、DEI(Diversity, Equity and Inclusion)、より広範なコーポレートガバナンス対策などの領域で、ESGへの取り組みが加速していることが確認されました。これは、サステナビリティの優先課題を事業戦略に取り込み、企業はすべてのステークホルダーの最善の利益に貢献するという考え方の高まりを裏付けるものです。」
「日本の大手企業における経営者報酬へのESG指標の組み込みは、2021年から2022年の1年間で急激に事例が増えた。大手企業以外の導入事例も多いこと、開示が乏しくESG指標の考慮が読み取りにくい企業もある状況を踏まえると、経営幹部の報酬評価にESG要素を考慮することがもはや標準形になりつつある。ただ実務を見る限り、事業戦略との具体的な関連性が不明確、容易に到達できる目標を設定しているなど、見栄えを整えているだけの企業も多い。真に意味のあるものとするためには、ESG指標の選定、目標管理のガバナンス強化と表裏一体で取り組んでいく必要があるだろう。」
本調査は、S&P500、TSX60、FTSE100、欧州主要9指数、APAC主要7指数に上場する1,081社の直近の公開情報から調査したものです。本調査はAPAC地域の7つの市場の上場企業のデータを含む初めての調査で、分析対象となったAPACの302社のうち、188社がインセンティブ・プランにおける指標の使用について情報を開示しています。日本企業については2022年6月末時点のTOPIX100企業を調査対象としています。
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