【プレスリリース/東京】 2024年3月22日(金)– 世界をリードするアドバイザリー、ブローキング、ソリューションのグローバルカンパニーであるWTW(NASDAQ:WTW)のインベストメント部門は、グローバル年金資産調査結果を発表しました。WTWの関連組織であるシンキング・アヘッド・インスティチュートの「グローバル年金資産調査」の最新の数字によると、世界の年金資産総額は2023年に回復に転じ、全体として11%上昇し55.7兆米ドルに達しました。
シンキング・アヘッド・インスティチュート(以下、TAI)は2022年末に同様の調査を行っており、2022年の年金資産総額は年間下落が世界金融危機以後で最大となった結果50.1兆米ドルでした。これによりそれまでの10年間で途切れることのなかった資産増が中断する形となりました。
市場が調整したことによるマイナス影響が大きかった2022年を経て、2023年において資産増に転じたことは、2023年を通じて資本市場が好調となった結果によるところが大きくなっています。TAIでは、グローバル株式(60%)とグローバル債券(40%)からなる参照ポートフォリオの2023年の年間パフォーマンス(米ドルベース)は16.6%に上ると推計しています。
これに関連して、世界の年金基金の実際の運用における配分は、本調査の開始以後20年において大幅に変化していることは注目に値します。2003年には51%であった株式に対する配分比率は2023年には42%と、20年の間に9パーセントポイント縮小している一方で、世界の年金基金の債券に対する配分比率は平均で36%と、2003年においても2023年においても同等の数値となっています。
20年前と比較して、不動産・インフラやプライベートエクイティといった「その他」に分類される資産クラスに対する年金基金の配分比率は著しく増加しています。こうした「オルタナティブ」資産は、世界の年金投資においては2003年には12%に過ぎなかったものが現在では20%となっています。同時に、世界の年金基金が市場リスクや金融システムにおける不透明感を意識するようになったことを反映して、現金性商品に対する平均的配分比率は20年の間に1%から3%に若干増加したことが推定されています。
個別市場として見れば、世界の主要22年金市場の運用資産において米国は単独の年金市場としては圧倒的に最大となる63.9%を占めており、日本(6.1%)と英国(5.8%)がそれに続き、これら主要3年金市場を合計すると世界の年金資産総額の4分の3に匹敵します。
世界の主要22年金市場の資産総額において91%もの割合が主要7年金市場に集中しています。2023年末時点において資産総額が50.8兆米ドルとなった世界の主要7年金市場についてTAIはより詳細な分析を行っており、確定拠出年金(DC)は主要7年金市場の過半数となる58%を占めています。
年金制度や仕組みは進化を続けています。オランダや日本では確定給付企業年金(DB)がそれぞれ94%、95%と大勢を占めている一方で、それ以外の地域では確定拠出年金(DC)への移行が進んでいます。なお、オランダの年金制度については、従来型のDBからDCへ移行する改革が進行中です。
オーストラリアでは、すでに年金資産総額の88%がDCで構成されており、もともとはDBが多数を占めていたカナダにおいてもDCの割合が44%にまで上昇しています。英国では、DCの比率が4分の1を占めるまでになり、英国のDB年金資産は74%と総額に占める割合は着実に低下しています。
シンキング・アヘッド・インスティチュートのディレクターであるジェシカ・ガオは以下のように述べています。
「年金資産総額が再び増加しているのと同様、年金業界自体の重要性も高まっています。これは世界全体が今後の繁栄にとっての新たな課題や投資機会に直面しているからであり、成長が再び課題となっているのです。」
「こうした世界全体としての成長はまだそれほど急速ではなく、また年金資産総額は2022年以前の水準を下回っているものの、世界的な成長は1年前に経験したものよりははるかに良くなっています。インフレ率は緩やかになり、その結果、金融市場は、金利が少なくとも今のところは大部分の国においてピークに達したと思われることによる下支えを受けています。」
「こうした市場の反転という明るい話題に加えて、重要な教訓や警告としては、システミックリスク、つまりはシステムが機能不全に陥る可能性は依然として高まっています。年金基金もまた、変わりゆく世界において迅速に適応することを日々求められています。すでに多くのアセット・オーナーが、人の知能(HI)や人工知能(AI)と協業しながら、革新的な財務ソリューションを構築・提供し、より正確でタイムリーな報告書を作成し、組織としての俊敏性を促進するよう運用モデルの再定義を始めています。」
WTWのインベストメント部門の日本の統括者である木村倫啓は述べます。 「日本を含むアジアの投資家は、分散投資を強化する長い道のりを辿ってきています。自国からグローバルへの分散やオルタナティブ投資への配分増加といった変化を経験してきた結果、アジア地域の多くの洗練された年金投資家が今やオルタナティブ投資へ10~15%の配分を有しています。不確実な環境において今後も分散拡大を模索する動向は継続し、アジア地域においても、他の先進諸国の年金市場に見られるオルタナティブ資産への配分20%に近づいていくとみています。」
ジェシカ・ガオは次のように続けます。
「一方で、年金業界は規制当局からの関心の高まりにも直面しています。エネルギー転換、気候変動対策、持続的なハイテク成長など、資本を大量に必要とするシステミックな問題を克服するために必要なシステミック投資に資金を供給する新たな方法を政府が模索しているため、年金制度に対する政府の影響力も高まっています。」
「前向きな勢いを維持し、積立水準が十分な状態で受益者に対する今後の年金支払いを確保するためには、真の長期投資家は完全なシステムを目指すという観点から注意を払い、考え続けなければならず、21世紀も4分の1が過ぎようとする現在ではこうした点はとりわけ重要となります。」
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シンキング・アヘッド・インスティテュート(TAI)は、2015年1月に設立された非営利の運用調査及びイノベーションのためのグローバルな会員グループです。持続可能な未来のために資本を活用していくことに取り組んでいる機関投資家のアセット・オーナー及びアセットマネージャーから構成されています。世界中に50以上のメンバーを持ち、合計で16兆米ドル以上の資産に対し責任を負っており、2002年に設立されたWTWのインベストメント部門のシンキング・アヘッド・グループをその前身としています。
WTW(NASDAQ:WTW)は、企業に対し、人材、リスク、資本の分野でデータと洞察主導のソリューションを提供しています。世界140の国と市場においてサービスを提供しているグローバルな視点とローカルな専門知識を活用し、企業戦略の進展、組織のレジリエンス強化、従業員のモチベーション向上、パフォーマンスの最大化を支援します。
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