メインコンテンツへスキップ
main content, press tab to continue
メディア

役員報酬への株価指標の反映、TOPIX100の36%(昨年比+7%ポイント)

WTW調査結果

2025年3月13日

Executive Compensation
N/A

【プレスリリース / 東京】 2025年3月13日(木) -- 世界をリードするアドバイザリー、ブローキング、ソリューションのグローバルカンパニーであるWTW(NASDAQ:WTW)は、役員報酬の算定に資本収益性(ROE、ROIC)や株価に関する指標(株主総利回り(TSR)、株価・時価総額、PBR/PER)を採用する企業の状況について、TOPIX100構成企業を対象とした調査を実施しました。

《 調査結果ハイライト 》

  • 役員報酬の算定において、資本収益性に関する指標を採用する企業の割合はTOPIX100構成企業の43%(昨年比±0%)、株価に関する指標を採用する企業の割合は36%(昨年比+7%)
    • 資本収益性指標採用企業のうち、6割強の企業が具体的なKPIとしてROEを選定しており、3割弱ROICを、残りの1割はROEとROICの両方を選定している
      • 評価の反映先は長期インセンティブ(LTI)の方が多く、短期インセンティブ(STI)に反映する企業の倍近い
    • 株価指標採用企業のうち、9割近くの企業が具体的なKPIとして株主総利回り(TSR)を選定しており、その他企業では株価や時価総額による評価を実施している
      • TSR選定企業は全て、LTIのKPIとして採用している
  • TSR指標採用企業のうち、4割強の企業は自社のTSRと株価指数(インデックス)成長率とを比較・評価し、3割強は具体的なTSR比較企業(競合企業等)における自社のTSRの優劣(相対的な順位)で評価し、残りの2割強は両方の評価を実施している
    • 採用されるインデックスはTOPIXが多くを占めているが、一部では業種別TOPIXやJPX日経400を採用する企業も見られる
    • 具体的なTSR比較企業を設定する場合は、国内だけでなく海外の競合企業等を選定する事例もある(e.g. 武田薬品工業、アステラス製薬、日立製作所、ルネサスエレクトロニクス、オリンパス)
役員報酬の算定において、資本収益性に関する指標を採用する企業の割合はTOPIX100構成企業の43%(昨年比±0%)。- Description below

資本収益性指標採用企業のうち、6割強の企業が具体的なKPIとしてROEを選定しており、3割弱がROICを、残りの1割はROEとROICの両方を選定している。評価の反映先は長期インセンティブ(LTI)の方が多く、短期インセンティブ(STI)に反映する企業の2倍近い

図1: 役員報酬の算定に資本収益性に関する指標を採用している企業の状況
役員報酬の算定において、株価に関する指標を採用する企業の割合は36%(昨年比+7%)。- Description below

株価指標採用企業のうち、9割近くの企業が具体的なKPIとして株主総利回り(TSR)を選定しており、その他企業では株価や時価総額による評価を実施している。TSR選定企業は全て、LTIのKPIとして採用している。

図2: 役員報酬の算定に株価に関する指標を採用している企業の状況

《 コメント 》 

コーポレートガバナンス・コードが施行されて以降、中長期的な企業価値の向上を目的として、資本収益性や株価に関する指標を役員報酬のKPIとして選定する企業が徐々に増えている。WTWが毎年実施している大手日本企業300社超に対する調査においても、ROEやROICは長期インセンティブにおけるKPIとして最も多く活用されており、次いで、TSRを中心とした株価指標が2番目に多く活用されている。

東京証券取引所は、役員報酬制度に対して投資者が期待するポイントとして、「中長期的な企業価値向上のインセンティブとなる役員報酬制度の設計を行う」ことを挙げている。また、具体的な投資者の評価ポイント(事例)として、例えば、富士通の役員報酬制度に関し、「役員報酬の⾒直しによって、投資者が重視するTSR等の指標との連動が強まるなど、企業価値向上に向けた経営陣の強いコミットメントを感じる。」とコメントしている※1

日本企業の役員報酬は、欧米企業の影響を受けて高額化が進んでいる。しかし、株主総利回り(TSR)のような株価指標の採用割合は、欧米企業と比較するとまだ低い状況にある(米S&P500や欧州主要インデックス構成企業の6~7割が株価指標を採用)。投資家や規制当局からのプレッシャーもあり、今後、TSR指標を採用する企業が増加する傾向は続くと予想される。


  1. 東京証券取引所 『投資者の視点を踏まえた「資本コストや株価を意識した経営」のポイントと事例』 最新版
    (2024年11月21日公表)より一部掲載
    Return to article

WTW 経営者報酬・ボードアドバイザリー

ディレクター 宮川 正康

コンサルタント 市川 晋平

リードアソシエイト 板東 季彩

WTWについて

WTW(NASDAQ:WTW)は、企業に対し、人材、リスク、資本の分野でデータと洞察主導のソリューションを提供しています。 世界140の国と市場においてサービスを提供しているグローバルな視点とローカルな専門知識を活用し、企業戦略の進展、組織のレジリエンス強化、従業員のモチベーション向上、パフォーマンスの最大化を支援します。

私たちはお客様と緊密に協力して、持続可能な成功への機会を見つけ出し、あなたを動かす視点を提供します。

Related content tags, list of links メディア 経営者報酬(役員報酬) 日本
Contact us