ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)を組織文化に組み込むことで、組織の持続可能性とレジリエンスが向上し、リスクの軽減につながります。DEIプログラムを成功させるには、コスト、人材、利害関係者の期待を巧みにバランスさせるための大胆な行動が不可欠です。
インパクトをもたらすDEI戦略は、従業員の間に深い帰属意識を生み出す必要性を認識することから始まります。また、タレント全体のライフサイクルと従業員エクスペリエンスまで含めて、人的資本戦略のあらゆる側面にそれを織り込む必要があります。そうすることで、組織とその従業員が繁栄し、革新し、卓越する力を得ることができます。
DEIの取り組みを始めようとしている場合、また取り組みを洗練させようとしている場合のいずれにおいても、WTWはクライアントに対して支援を提供します。クライアントの組織をより強靭なものにし、従業員の成功を支援するための、人・リスク・資本の領域における、データに基づいたDEIの支援策を提供します。
82% の企業は、DEIを価値観と文化の一部としています。2025年までに91%に増加することが推定されます。
(WTW 2023 Best Practices in Health Care Survey)
75% の企業は、DEIの志を従業員の福利厚生に反映させることを検討、または実行しています。
(WTW 2023 Global Priorities for Employee Benefits)
DEIとは何か?
DEIは、組織内のすべての個人の固有の特性、背景、視点の価値を認め、尊重する環境を作ることを目指しています。DEIは、I&D、D&I、および所属(Belonging)を表す「B」を含む、その他の組み合わせとして表現されることもあります。
それは、すべての人のための文化と帰属意識を創りだすことを目的としています。
ダイバーシティ(多様性)
ダイバーシティ(多様性)とは、職場に存在する人の違いの範囲を指します。理想的には、各人の周囲のコミュニティを反映する必要があります。人種や性別をはるかに超えて、次のような幅広い側面を網羅しています。
- エスニシティ
- 年齢とライフステージ
- 性的指向
- 宗教
- 障害
- 社会経済的地位
- 退役軍人
- 介護者
これらの各側面は、独自の視点、経験、貢献を組織にもたらします。そして、従業員が自由に自分を表現するための発言権と機会を与えられると、生産性、革新性、回復力を高めることができるような、より豊かで活気のある思考が育まれます。
エクイティ(公平性)
エクイティ(公平性)には、人々が充実した健康的な生活を楽しむために必要なものを提供するために、従業員に耳を傾け、理解することが含まれます。公平性は、すべての従業員に公正な待遇と機会・リソースへのアクセスを確保することに重点を置いています。個人によって成功のための出発点や障壁の違いがあることを認識し、サポートや便宜を提供し、制度的な障壁を取り除くことによって、そのような格差に対処しようとするものです。
インクルージョン(包摂性)
インクルージョン(包摂性)は、帰属意識を高めることを目的としています。包摂性の高い、インクルーシブな企業文化は、従業員が大切にされ、尊重され、独自の視点を発揮する力を与えられていると感じさせます。多様性が称賛され、尊重されるような協力的で支援的な環境を育むことが必要です。個人の成長と成功を支援し、より生産的で革新的かつ持続可能な職場を実現します。
企業にとってなぜDEIが重要か?
DEI が組織にとって重要である理由はいくつかあります。
- 仕事、給与、キャリア、健康とウェルビーイング、経済的な結果やその安全性などについて、特に過小評価されている従業員にとって不公平が存在する。
- 新たな、あるいは既存のDEIに対する開示要件と規制による、不公平な差異に対処するための緊急性の高まり
- 従業員、消費者、投資家は、DEIの進捗状況に注目しており、すべての従業員に対して公平性、社会的なつながり、帰属意識を期待している。
- 行動を伴ったDEIへのコミットメントは、競争上の差別化要因であり、あらゆるレベルの従業員の多様性と代表性を高め、従業員の雇用、定着、エンゲージメントを支援し、すべての従業員のウェルビーイングを確保する
- 経営陣とマネージャーによるガバナンスとエンゲージメントの一貫した戦略が、DEI戦略を実現するために重要となる。これには、従業員の多様なニーズと従業員体験のあらゆる側面を反映するために、DEIの視点を通じて評価された人材についての施策・ポリシーが含まれる
これらをまとめると、DEIは、従業員、顧客、投資家、その他のステークホルダーにとってより良い結果をもたらすということです。
33% DEIの優先度を高く認識しているが、企業の取り組みが十分でないとランク付けしている従業員は、そのような取り組みを高くランク付けした従業員よりも、5%の昇給のために退職する可能性が33%高くなります。
(WTW 2022 Global Benefits Attitude Survey)
DEIは、優秀な人材を引き付け、定着させ、エンゲージメントを高めるための鍵です。職場でDEIに優先順位を付けることで、次のことも実現できます。
- イノベーションの促進
- 意思決定の改善
- 顧客や他のステークホルダーとのより強固なつながりの構築
- 生産性、持続可能性、レジリエンスの向上
多様性のある組織は多様性の低い組織を上回るという調査結果があります。Global - Parity Allianceによると、民族的に多様な企業は36%、性別の面で多様な企業は25%、その業界で平均的な多様性を持つ企業を財務的に(株主総利回り(TSR)の観点で)上回る可能性が高くなっています。
DEIのビジネスにおける価値を引き出し、すべての人の帰属意識を高める文化を実現するためのWTWの支援
DEIと帰属意識を高める文化への取り組みは継続的なプロセスであり、より包摂性があり公平な職場づくりのためには、継続したコミットメント、適切な評価、適応が必要です。DEIに取り組むには、包括的な戦略と堅牢なガバナンスプロセスが必要であり、経営陣、マネージャー、従業員それぞれに対する適切なツールとプログラムを通じて実行が可能になります。最終的な目標は、すべての従業員が、自分が帰属意識を感じ、活躍できる能力を持っていると感じることです。
WTWは、DEIに対する現在のアプローチと将来のビジョン、およびそれがより広範な人材とビジネスの戦略にどのようにつながるかを理解することから始めます。そして、明確な目標を設定し、ビジョンを達成するための戦略を策定し、それを達成するためのロードマップを作成します。現状を把握する段階開始するか、計画を練り直し、適切な測定と説明責任を果たすための体系づくりから着手するかにかかわらず、クライアントの状況に基づいてサポートを提供します。
21% の企業は、DEIに関してダイナミックに変化する仕事の状況に対処するために、総報酬(トータル・リワード; Total rewards)についての戦略の見直し・更新をしています。
(WTW 2023 Dynamics of Work Survey)
WTWは従業員と事業のパフォーマンスを高めるための戦略的な重点分野を特定しています。
- DEIの戦略、ガバナンス、分析
- 平等で公正な賃金
- 公平なキャリア機会
- 包摂的な福利厚生
- 仕事と休暇に関する方針
- 包摂的な従業員体験
- 経営陣ととマネージャーの活性化
- ESGの一部としてDEIを位置付ける
DEIをESGコミットメントにうまく組み込むには、従業員や経営陣、またはサプライヤーの多様性、トレーニング、社内外のコミュニティとのつながりなど、DEIのあらゆる側面に投資し、ガバナンスを確立する必要があります。
WTWは、人的資本に関する指標を使用し、DEIやその他のESG要因との従業員の整合性を測定します。たとえば、従業員一人当たりの生産性や賃金格差など、人的資本管理に関連するいくつかの潜在的なESG指標や、高業績をもたらす従業員体験やリスキリング・アップスキリングプログラムへの公平なアクセスなどの新しい指標があります。特定の目標を達成するための指標の適切なバランスを見つけ、それらを経営戦略およびESG戦略に整合させる支援をします。
DEIとESGを正しく理解すれば、組織文化が強化されるだけでなく、従業員エンゲージメントも向上します。従業員は、公平性、尊厳、敬意を持って接せられ、正しいことをしていると感じられる会社で働きたいと考えています。
現在のような変化する世界で成功するためには、DEIがエンプロイーエクスペリエンス(従業員体験)とESG戦略に組み込まれている、健全な組織文化を創りだす必要があります。従業員がありのままの自分や最高の自分を仕事に持ち込むことに抵抗がないと感じるとき、コラボレーション、創造性、革新性、生産性が高まり、ビジネスがより強靭なものとなり、現在および将来の課題に対応できるようになるでしょう。