規制当局によるコンプライアンス違反の指摘に基づく製造の中断は、バイオファーマ、医療機器のメーカーにとって大きな影響を及ぼします。
米国食品医薬品局(FDA)および世界各国の規制当局は、ライフサイエンス関連企業に対し、GMP(Good Manufacturing Process)の遵守に関する監視の目をより強めています。
規制当局による査察は、企業が自発的に行う場合であれ当局による強制的なものであれ、製造中断につながる可能性があります。
各企業のサプライチェーンがますます複雑化していることも、潜在的なリスクの拡大につながっています。
ますます多くの企業が、自社製品の主要原材料の供給や、自社の製造能力の補充または代替のために外部のサプライヤーや受託製造会社に依存する傾向を強めています。
規制当局による査察は、非常に大きな影響を及ぼす可能性があります:
- 規制上のコンプライアンス違反が発見された場合、規制当局はフォーム483(「査察所見」とも呼ばれる)や、警告書、市場販売承認の撤回、最終的には製造中止命令を発動する可能性があります。
- 主要サプライヤーや受託製造業者における業務の中断に対して、代替策を講じることができなければ自社の製品製造の中断や売上損失につながります。
- 規制当局による業務停止命令は長期に及ぶ可能性があり、製造再開の承認プロセスも複雑なものとなる傾向があります。
物的損害に因らない利益保険(Non damage business interruption insurance:NDBI)
重大な製造プロセスの欠陥または異常、規制当局からの承認撤回またはライセンス停止、あるいはGMP違反に伴う企業の自発的な操業中止の決定(これに伴い製品リコールが発生する可能性があります)などに直接起因して生じる事態に対しては、保険で対応することが可能です。
補償範囲に含まれる損失としては、喪失した利益および改善コストをはじめとする直接費用に加え、廃棄コスト、規制検査コスト、リコール関連コスト、および直接的な市場シェアの喪失といった追加の費用が挙げられます。
本保険契約は個別の各施設を対象とし、加入者は自社施設やサプライヤー施設(「ミッションクリティカル・重要製造拠点」)を対象として選択します。
本保険契約において基本的に対象に含まれる指定規制当局(DRA)は、米国、カナダ、EU加盟国、英国、スイス、ノルウェー、イスラエル、日本、オーストラリア、およびニュージーランドです。
補償の対象となる損害:
- 以下の事態に直接起因して、被保険者の、または被保険者のための製造業務の全体的、あるいは部分的な中止:
- DRAによる製造中止命令
- 製造プロセスにおける異常発生に直接起因し、製造を中止する旨のDRA命令の発動を防止するために被保険者またはサプライヤーが自発的に製造を中断する場合。
- 加入者の自社施設やサプライヤーが所有する施設を補償対象施設として設定可能。
- 保険の対象に、施設予定地を含めることも可能。
さらに、交渉を通じて、補償範囲に以下を含めることも可能です:
- 非DRA国に所在する施設で製造された製品に対するDRAによる輸入禁止命令。
- サプライヤーから受領した材料が、製造プロセスに組み込まれる前に、規格外である、欠陥がある、または汚染されていることが判明した場合。
- DRA命令または予防措置の結果として、ロイヤルティ収入を喪失したり、納入遅延による違約金が発生した場合。
ウイリス・タワーズワトソンがクライアント企業との間で契約を締結する際には、事前にウイリス・タワーズワトソンの現地におけるライセンス要件を確認することが規制当局により要求されます。