近年では、監査役設置会社であっても、任意の諮問機関として報酬委員会を設置するトレンドが見られています。制度運用や改訂にあたり、報酬委員会での審議を経ることにより、経営者報酬のアカウンタビリティを手続面から補強することが可能となります。特に、昨今の企業統治強化の流れの中で、「利益相反の監視役」として、独立性の高い社外役員を報酬委員会メンバーに含める事例も増加しています
また、報酬委員会の審議体制を適切に強化することで、制度運用の柔軟性を高める効果も得られます。株価や業績が市場要因で大きく変動する昨今、定量的なインセンティブ報酬の仕組みだけでは、経営陣のモチベーションへ配慮することが難しくなっています。客観性や透明性の高い報酬決定プロセスを通じた合理性が担保されるのであれば、事後的な報酬調整を加えた場合であっても、経営者報酬のアカウンタビリティは損なわれにくくなります
WTWでは、我が国企業に対する豊富な報酬委員会アドバイザリー経験から、報酬委員会の設置、及び審議体制の強化にあたり、以下のようなポイントを重視しています
【報酬委員会の設置】
- 報酬委員会の位置づけ、権限、責任の明確化
- 報酬委員会のメンバー構成
- 議論の軸となる「報酬の方針」の明確化
- 年間運用スケジュールの作成
【報酬委員会の審議体制の強化】
- 必要十分な開催回数の確保
- 経営者報酬に関する適切な情報収集体制の構築
- 議事録の作成