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ポリティカルリスク&ストラクチャードクレジットリスク

2007年から2008年にかけての世界金融危機の際には、ポリティカルリスク保険やストラクチャードクレジット保険の引受保険会社やロイズマーケットから合計で約20億米ドルの保険金支払があったと言われています。

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ポリティカルリスク保険(Political Risk Insuranceは1970年代にロイズにおいて国外投資に対する、接収・収容・国有化(Confiscation、Expropriation & Nationalization)によって被った損害をカバーする保険として引受が始まりました。1980年代にはポリティカルリスク保険として、公的債務者の契約不履行(public buyer contract defaultの引受も開始しました。従い、ポリティカルリスク保険では国外のリスクをカバーすること(クロスボーダー)が一つの要件となります。

 一般的に認知されている取引信用保険(Trade Credit Insurance)は短期の売掛債権を包括的にカバーし、取引先の倒産による貸倒損失を補償しますが、ストラクチャードクレジット保険(Structured Credit Insuranceは民間企業または、公的債務者(政府・国営企業等)による不払い(Non-Payment)によって被る損害を中長期に補償し、1990年代から世界の金融機関がカントリーリスク軽減のために活用が行われています。また、クレジット保険が故にクロスボーダー取引を要件とせず、金融・保証債券リスクにも対応可能です。

2007年から2008年にかけての世界金融危機の際には、ポリティカルリスク保険やストラクチャードクレジット保険の引受保険会社やロイズマーケットから合計で約20億米ドルの保険金支払があったと言われています。これらの中長期保険は時代のニーズ拡大と保険マーケットの成熟により、現在では幅広いリスクを対象とする*ECA代替ソリューションとして活用が進んでおり、初期検討事項と活用範囲は以下の通りです。
(注:ECA=Export Credit AgencyとはNEXIやJBIC等の公的輸出保険・保証機関を指す。)

  • 金融債権、売掛債権または保証
  • 保険期間(2年超~15年程度)
  • シングルリスクorポートフォリオリスク
  • 取引相手は公的債務者か(政府、国営企業等)民間企業か
一般事業会社や金融機関における検討事項と活用範囲
検討事項と活用範囲

なお代表的な ポリティカルリスク保険 やストラクチャードクレジット保険が対象とする主なリスク区分は以下の通りですが、これらの分類は保険会社毎の定義によって呼称が異なることがあるため、注意が必要となります。

  1. 01

    不可抗力のポリティカルリスクを列挙してカバー

    • Confiscation (CEN) Equity

    政府、国営企業等により、投資家の海外投資資産のはく奪、放棄、土地の収用、国有化を強いられた場合。一般的にConfiscation, Expropriation, Nationalizationの頭文字をとって、「CEN」と呼ばれる。

    • ConfiscationCENDebt (Lender’s Form)

    Confiscation (CEN) Equityとほぼ同様のカバーでだが、金融機関のローンや保証の不払いに対応。保険のトリガーはダブルトリガーであり、被保険者は損害の発生のみならず、列挙危険の発生と損害との因果関係等の立証が必要。

  2. 02

    取引相手の不払いや契約不履行リスクとしてカバー (Non-Payment)

    • Contract Frustrationは公的債務者(政府・国営企業等)のデフォルトをカバー。保険マーケットではBreach of Contract (BoC)やNon-Honouring of Sovereign Obligations (NHSG)とも呼ばれる。
    • 一方、民間企業のデフォルトをカバーする同様保険は、中長期シングルリスクであればストラクチャードクレジットと呼ばれ、このうち特に貿易関連取引対象であればトランザクショナルトレードクレジット、或いはシングルクレジットとも呼ばれる。

    補償期間の長短に拘らず、これらのリスクを個々のトランザクション毎に引き受けるのがストラクチャードクレジット保険の特徴ですが、リスク同一性の高い反復取引であればポートフォリオカバーも検討可能です。

    (注:トランザクショナルトレードクレジット保険は短期の取引信用保険とは異なる。)

  3. 03

    金融機関向けポリティカルリスク&ストラクチャードクレジット保険の特徴とトレンド

    • 金融機関向けのポリティカルリスク保険は、為替交換不能・国外送金規制リスク、接収・収容・国有化(含む「忍び寄る収容 = Creeping Expropriation」)リスク、戦争・テロ・暴動等の政治的バイオレンスに、政府や国営企業等のデフォルトを加えた、いわゆる4-point PRI coverが伝統的。
    • バーゼルIIIのRisk Mitigation Toolに対応するストラクチャードクレジット保険は特にComprehensive Non-Paymentと呼ばれ、保険期間の長短や貿易・非貿易トランザクションの別に拘らず海外では活用が盛んですが、昨今は(日系損保の追加認可取得に伴い)国内での活用事例も増加傾向にあります。

ウイリス・タワーズワトソンのファイナンシャルソリューションは、ポリティカルリスクとストラクチャードクレジットに特化した専門家の集団であり、ロンドン・ニューヨーク・シンガポール等のグローバル金融拠点を中心に約120名のスタッフを擁し、金融機関や商社を含む多国籍企業クライアントに1980年代のポリティカルリスク保険黎明期よりアドバイザリー* と保険ソリューションの組成及び保険仲介業務を提供しております。

ポリティカルリスクアップデート

ポリティカルリスクアップデートは顧客サービスの一環として、ご希望の当社クライアントへ適宜配信されるカントリーリスクに関する英文注意喚起サービスです。 実際に配信されたアップデートを下記よりダウンロードできますので、是非ご活用下さい。


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